デッドリフトで背中が曲がるのはダメなのか? 背中を曲げるメリットは?

デッドリフト

デッドリフトで背中が曲がる理由はハムケツにあり】でデッドリフトで背中が曲がる理由について書きましたが,この記事では,じゃあ背中が曲がるのってダメなの?ということについて,これまで勉強したことや,筆者自身の経験もとに書いていきます。

結論からいうと,「背中が曲がる角度が大きすぎず,曲がる角度が動作中に変化していなければそれほど問題ではないが,腰椎を曲げるのは基本的には避けたい」です。

また,上記は安全面のみを配慮した結論ですが,パワーリフターなどとにかく高重量を挙げたい場合には,背中を曲げることのメリットも考慮し,安全性とパフォーマンスのバランスを取ると良いと思います。背中を曲げるメリットについては記事後半に記載してあります。

①背中が曲がる角度
②曲がる角度の動作中の変化
③腰椎を曲げるのは基本的に避けたい

この3つに分解してそれぞれ見ていきます。

ちなみに筆者のデッドリフトは,この記事で紹介する所謂”良くない曲がり方”をします。

シャフトにテンションがかかっていないのもありますが,動作中に曲がる角度が変化しており腰椎も思いっきり曲がってます。かなりひどいフォームです。

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①背中が曲がる角度について

言い換えると,脊椎の屈曲角度でしょうか。

背中が曲がる角度が大きすぎないというのは,脊椎にはそれぞれ可動域があり,その可動域のぎりぎり限界まで曲がるのは避けましょうということです。

ある程度なら曲がっても問題ないが,曲げ過ぎは良くないと思われます。

では,”ある程度”ってどのくらい?という話になりますが,これについては人によるとしか言えないと思います。

脊椎がニュートラルな状態を0,可動域の限界まで曲げた状態を100としましょう。60まで曲がっても怪我をしない人もいれば,30で怪我をする人もいるでしょう。「0」,つまり脊椎をニュートラルに保っていても怪我をする人はいます。故に,”ある程度”がどの程度かは人によるということになります。

多少なら曲がっても問題なさそうだけど,曲げ過ぎは好ましくないよということです。

②曲がる角度の動作中の変化

”背中が曲がる”ということは,スタートポジションでは真っ直ぐなのに動作を始めると曲がり始める場合と,スタートポジションですでに曲がっている場合と大きく2つに分類できます。

この前者を避けましょうということです。また,スタートポジションで背中が曲がっている場合でも,動作中にその曲がる角度が大きくなる場合,つまり,スタートポジションで曲がった背中が動作中にもっと大きく曲がる場合はこれも避けたほうがよいです。

背中を曲げるなら,スタートポジションからその曲がった角度を保ったまま動作を行えるようにすると良いと思います。

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③腰椎を曲げるのは基本的に避けたい

胸椎は曲がっても,腰椎は曲げないようにしましょうということです。

しかしこれはあくまでも理想論であり,実際には,胸椎だけ曲げて腰椎はニュートラルに保つというのを高重量を持ちながら行うのは非常に難しいので,腰椎はなるべくニュートラルに保つという意識で,多少は腰椎も曲がっても仕方ないと思います。

腰椎ではなく胸椎なら曲がっても問題ない,大丈夫という風に見える書き方ですが,曲がる角度の大きさや,その人の体の丈夫さなどによって,胸椎ヘルニアなどを引き起こす可能性はあります。腰椎よりは胸椎のほうが曲がっても怪我を起こしにくいだろうということです。

背中を曲げないほうが怪我をしづらいのか?

一般には,背中を曲げるよりは真っすぐのほうが安全だ,怪我をしづらいと思われていますが,本当にそうなんでしょうか?

デッドリフトを教える際に,トレーナでも教科書でも「背中を真っ直ぐにして〜」と言われることがほとんどですが,本当にそのほうが怪我を防げるのでしょうか?

上述しましたが,背中が曲がっても怪我をしない人もいれば,背中を真っ直ぐにしていたのに怪我をする人もいます。だからといって,背中を真っ直ぐにするのは間違いだ!とは思いませんが,それと同時に,背中を曲げることもすべてが間違いだとは思いません

ちなみに,背中を曲げても問題ないと主張する人の中に,世界トップのパワーリフターでコンベンショナルの人はだいたい背中が曲がってるという話をする人がいますが,そこを引き合いに出すのは違うと思います。

確かに,世界トップのパワーリフターでコンベンショナルの人はだいたい背中が曲がってるというのは事実です。しかし,生存バイアスの問題があります。

世界トップのパワーリフターは間違いなく体が平均よりも頑丈で,体の使い方もうまいでしょう。逆に言うとそういう人しかそのレベルには残れません。故に,その残った人達を例にするのは違うと私は思います。

”世界トップのパワーリフターでコンベンショナルの人”の例としてわかりやすいのは Brett Gibbs(ブレット・ギブス)でしょう。下の動画で分かる通り,動作中に背中が曲がり始める所謂良くない曲がり方をしていますが,長年このスタイルでやっていて怪我もしていないようです。

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背中を曲げるメリット

初めに断っておきますが,あくまでもメリットを紹介するだけなので,背中を曲げることをおすすめする訳ではありません。メリット,デメリットを考慮した上でご自身で判断してください。

また,スモウにも当てはまる部分はありますが,どちらかといえばコンベンショナルのほうが背中を曲げる恩恵は受けやすいかなと思います。

デッドリフトで背中が曲がるのは,ハムケツが弱く,それを強い背中がカバーするからでした。その結果,ハムケツの力では本来耐えられない重量を背中を曲げることで挙げています。

(詳しくは【デッドリフトで背中が曲がる理由はハムケツにあり】を御覧ください。)

背中を曲げるメリットはまさにこれです。

背中をあえて曲げることで,背中を真っ直ぐに保っていては挙げられない重量を挙げることができます。パワーリフターにとっては大きなメリットです。

デッドリフトで重量が伸びない原因がハムケツの弱さにあるのなら,ハムケツ自体を強化して根本的な問題を解決しようと試みるのはもちろん大切ですが,ハムケツの弱さを他の強い部位(この場合は背中)でカバーするような挙げ方に変えるのも1つの手です。

ちなみに,ハムケツが弱さの原因かどうかを調べる方法としては,背中を真っ直ぐに保ったコンベンショナルデッドリフトで,スティッキングポイント(挙上スピードが下がり詰まるところ)がボトムの少し上,スネ〜膝下〜膝のあたりであればハムケツが弱いということになります。

また,皮肉にも,大腿骨が長いことの多い日本人(もちろん個人差はあります)には背中を曲げる挙げ方が合ってしまうのです。

なぜならば,同じ脚の長さでも,大腿骨の比率が大きければ大きいほど,股関節のモーメントアームが大きくなり,その分の股関節伸展能力,つまりハムケツの力が必要となるからです。

(左:大腿骨長い / 右:大腿骨短い
筆者作成。)

このように,脚全体に占める大腿骨の比率が違うだけで,モーメントアームの大きさが変わります。

背中を曲げるデッドリフトの注意点は,最後の膝上のフィニッシュの部分で詰まりやすくなることです。

注意点とはいっても,スティッキングポイントの場所が変わるだけで,スティッキングポイントはどんなフォームであれ存在するので,最終的にはメリット・デメリットを考慮した上での選択の問題だと思います。

背中が曲がってフィニッシュで詰まる場合の改善策としては,背中を曲げすぎないこと(曲げる角度を大きくすればするほどボトムは軽くなりますがフィニッシュはきつくなります)と,根本的な原因であるハムケツを強化することです。

そもそも,背中を曲げる理由がハムケツの弱さにあるので,強い背中ばかりに頼って根本的な原因であるハムケツの強化を怠ると詰まりはなかなか解消されないと思います。

以上です。
最後まで読んでいただきありがとうございます。