デッドリフトで背中が曲がる理由はハムケツにあり

デッドリフト

デッドリフトで背中が曲がる理由は大きく3つ考えられます。
①ハムストリングスなどの柔軟性不足によってそもそもスタートポジションが取れない
②ファーストで地面を押す感覚がわからないなど,技術面の不足
③筋力面の不足

①は,この記事の最後でも紹介しているRDL(ルーマニアンデッドリフト)を行うことでハムストリングスの柔軟性が向上し改善されます。
②は,単純に地面を押す感覚を養う練習が足りていません。

この記事では③の筋力面の不足に焦点を当てます。

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モーメントアームについて

まず初めに,デッドリフトという動きを理解するために,モーメントアームとは何か?ということを考えます。

ダンベルカールをイメージしてください。ダンベルカールで一番きついのはどこでしょうか?

肘が90度付近に曲がったところになるはずです。

なぜならば,モーメントアームが一番長くなるからです。

下の図は◯が肘,赤い線がダンベルから肘までの距離です。この”ダンベルから肘までの距離”がモーメントアームということになります。

(出典:http://exerciseeducation.com/moment-arm/

モーメントアームが一番長いのは肘が90度に曲がっている時であるということ,ダンベルカールは肘が90度に曲がったところが一番きついということから理解できるのは,モーメントアームが長いときつい,つまり,より大きな力が必要になるということです。

モーメントアームが長いと大きな力が必要になる,ということを念頭に以下をお読みください。

デッドリフトという動き

コンベンショナルのほうがスモウよりも例としてわかりやすいので,コンベンショナルを例にします。

デッドリフトでは,膝関節と股関節が伸展します。膝関節の伸展は大腿四頭筋,股関節の伸展はハムストリングスと大殿筋が行っています。

デッドリフトにおいて,膝関節の伸展と股関節の伸展,どちらのほうが大きな力が必要となるでしょうか?

デッドリフトのモーメントアームを考えると,膝関節からバーベルまでの距離と,股関節からバーベルまでの距離は,後者のほうが圧倒的に長いです。

つまりモーメントアームが長く,大きな力が必要となるのは股関節となります。(もちろん手足の長さやフォームによって多少の個人差はあります。あくまでも一般論です。)

下の図では,赤い線がモーメントアームです。

(出典:https://www.strongerbyscience.com/everything-you-think-is-wrong-with-your-deadlift/

故に,デッドリフトは股関節の伸展がメインの動きとなります。

上の図にもありますが,スクワットとデッドリフトの明確な違いはここにあります。

スクワットとデッドリフトのモーメントアームを考えると,スクワットのほうが膝関節のモーメントアームが長く股関節のモーメントアームが短く,全く同じではないが比較的バランスが取れているのに対し,デッドリフトでは股関節のモーメントアームのほうが圧倒的に長くなっています。

デッドリフト(特にスモウ)で,股関節をバーベルに近づけると良いと言われるのは,股関節とバーベルのモーメントアームを小さくすることで,股関節が発揮しなければならない力が小さくなるためです。

ちなみに,デッドリフトの際にスクワットのようにしゃがみ込み,膝を大きく曲げているから自分のデッドリフトは膝関節を大きく使っているという方もいるかもしれませんが,実際にプレートが地面を離れる瞬間をスロー再生などで見てみると,自分が思っているほど膝は曲がっていない場合がほとんどです。

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背中が曲がる理由

背中が曲がる理由は背中(脊柱起立筋)が弱く,重量に耐えられないからと考えている方が本当に多いのですが,多くの場合それは間違いです。

確かに,実際に脊柱起立筋が弱いことが原因である場合も存在しますが,それは一部です。

多くの場合,デッドリフトで背中が曲がるのは背中が弱いからではなく,股関節伸展,つまりハムストリングスと大殿筋が弱いからです。

なぜ,ハムストリングスと大殿筋が弱いと背中が曲がるのでしょうか?

このことを理解するために,実際に背中が曲がるとき,何が起きているのかを考えます。

こちらは筆者がデッドリフトをしているところです。(1年半以上前なのでツッコミどころは多々ありますが、ご了承ください。また,背中が曲がった例として出していますが,曲がり具合がそこまで大きくないため少々わかりにくい例となってしまいました。申し訳ありません。赤い→がモーメントアームです。)

結論からいうと,デッドリフトで背中が曲がる時は,股関節がバーベルに近づいています

なぜこのような動きが起こるのでしょうか?

股関節とバーベルのモーメントアームを小さくすることで,股関節が発揮しなければならない力が小さくなる」と上述しましたが,背中が曲がるときはまさにこのことが起きています。

起きているというのは,重りを持ち上げるために無意識に体が勝手にやっているということです。

股関節とバーベルのモーメントアームを,背中を曲げるという動作によって小さくし,本来股関節が発揮しなければならない力を,背中(主に脊柱起立筋)がアイソメトリックではなくダイナミックに動くことで代わりに力を発揮し,重りを動かしています。

アイソメトリックではなくダイナミックに,とはどういうことかと言うと,背中を真っ直ぐに保つデッドリフトでは脊柱起立筋は上体の角度を維持するためにアイソメトリックに働くのに対し,背中が曲がるデッドリフトでは実際に脊柱起立筋そのものが背中が曲がる時に伸びて,収縮することで曲がった背中を再び真っ直ぐに戻すというダイナミックな働きをするということです。

よって,背中が曲がるのは,ハムストリングスと大殿筋という股関節を伸展させる筋肉が弱いからとなります。脊柱起立筋は,曲がった背中を再び真っ直ぐにするダイナミックな働きをするので,実際には強いことになります。

重量が軽いときは背中が曲がらないのに,重くなると曲がるという場合はほとんどがこの理由です。

大腿四頭筋が弱いから?

いやいや,背中が曲がる理由は大腿四頭筋が弱いからだ! という方もいますが,筆者はそれは違うと考えています。

なぜならば,そもそもデッドリフトでは大腿四頭筋の力はそこまで必要ではないからです。

確認ですが,デッドリフトでの大腿四頭筋の役割は,ファーストで地面を押すことにあります。

デッドリフトでの膝関節の曲がり具合をスクワットで例えると,どのくらいになるでしょうか?

フルスクワットと同等に膝関節が曲がる人はまずいません。多くの人はクオータースクワット,スモウで股関節をバーベルに極限まで近づけて薄く構える人でもせいぜいハーフスクワットくらいでしょう。

多くの方は,クオータースクワットなら,デッドリフトで扱える重量よりもはるかに重い重量を扱えるはずです。(上体が耐えられるかということは関係ないので考慮しません。単純に膝を曲げ伸ばしできるかということです。)

膝関節の伸展ということに着目したとき,クオータースクワット程度の膝の曲がり具合なら300kg,400kgでもできる人は多いです。

それにも関わらず,クオータースクワットと同程度の膝の曲がり具合のデッドリフトで,大腿四頭筋の弱さが原因となることはまずないはずです。

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解決策

背中が曲がる理由はハムストリングス,大殿筋が弱いからということは,そこを別の種目で強化してやれば良いだけです。

おすすめは,RDL(ルーマニアンデッドリフト)です。RDLは動きとしては,デッドリフトから膝関節の伸展を取り除き,股関節の伸展のみにフォーカスした動きとなります。

RPEを使い毎回の筋トレで使用重量を伸ばす方法】を参考にすると効率的に強化できると思います。

当然ですが,股関節伸展を強化するために行う場合は,背中が曲がらない重量・フォームで行ってください。

すでにありふれた情報なのでRDLのフォームについてはこの記事では触れていません。
英語ですが以下の動画が参考になると思います。英語がわからなくても動きを見ればイメージが掴めると思います。

以上です。
最後まで読んで頂きありがとうございます。