スクワットでお尻がはねて前傾する理由と改善策

スクワット

SQ(スクワットのこと。以下同様)でお尻がはねて前傾するのはよくあるケースだと思います。所謂グッドモーニングSQといいます。

その際によく言われるのが,「前傾しないように意識する」というものですが,もっと効率的に,論理的に解決する方法があるので今回の記事ではそちらをご紹介します。

具体的には,単に”意識する”だけでなく,筋力面と技術面の双方からアプローチする方法です。

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SQのモーメントアームについて

まず初めに,SQという動きについて考えましょう。

モーメントアームってなに?という方は【デッドリフトで背中が曲がる理由はハムケツにあり】を参照してください。

SQのモーメントアームは以下の画像のようになっています。(骨格やフォームによって多少異なります。)

(出典:筆者作成)

画像の通り,DLと比べても,SQでは膝と股関節のモーメントアームが比較的バランス良い大きさになっています。これはSQが大腿四頭筋と臀筋を比較的バランス良く使う動きであることを意味します。

前傾するとき何が起きているか

では次に,実際にSQでお尻がはねて前傾するときに何が起きているのかを考えてみましょう。

前傾する理由としては技術面の問題筋力面の問題がありますが,ここでは筋力面の問題を考えます。(改善策はどちらの問題に対しても後半部分に記載してあります。)

なお,胴体に対して足が長い骨格の方(黒人選手に多い)は前傾せざるを得ないのですが,この記事でいう”前傾”とは,しゃがみ込む時に比べて,立ち上がるときに上体の前傾が強くなるという意味です。

結論から言うと,SQでお尻がはねて前傾するときは,膝が体の後方に向かって引っ込むような動きをします。

以下の画像のような動きです。

(出典:筆者作成)

画像の通り,膝が後方に引っ込むと何が起きるかというと,バーベルから膝のモーメントアームが小さくなり,その代わりバーベルからお尻のモーメントアームが大きくなります。

モーメントアームが大きいほど負荷は高まりますので,膝が後方に引っ込むことで,大腿四頭筋にかかる負荷を小さくし,その分お尻に負荷を逃しています

なぜこのようなことが起きるのでしょうか?

デッドリフトで背中が曲がる理由はハムケツにあり】をお読みになった方はもうわかったかもしれませんが,答えは簡単で,大腿四頭筋が弱いからです。

大腿四頭筋が弱いために,膝を後方に引っ込めて膝のモーメントアームを小さくし,相対的に強い臀筋に負荷を逃がすことで立ち上がろうとしています。

ボトムと,膝が後方に引っ込み前傾した際の比較が以下になります。

(出典:筆者作成)

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改善策

筋力面の改善策

上記にて,筋力面の問題としては大腿四頭筋が弱いことがわかったので,大腿四頭筋を鍛えれば良いです。

種目としては,普段ローバーSQをやっているならハイバーSQかフロントSQ,普段ハイバーSQをやっているならフロントSQが良いと思います。

注意点
大腿四頭筋を強化するためのハイバーやフロントSQで,同じように膝が後方に引っ込む動きをしないこと。

膝が後方に引っ込むと大腿四頭筋から臀筋へと負荷が逃げますので,大腿四頭筋を強化するためにやっているのなら避けましょう。効果が薄れてしまいます。

また,ボディビル的なトレーニング(レッグプレスやレッグエクステンションなど)でも良いと思います。

ケースバイケースではありますが,大腿四頭筋が弱いタイプは,ハイバーやフロントSQをやっても結局膝が後方に引っ込んでしまうことが多々あるように個人的に感じます。

技術面の改善策

これについては,RTS(Reactive Training Systems)が非常に有効な改善策をシェアしていたので,そちらを参考にします。

参考にするのは Chest Fall in The Squat – What it is And How to Fix it というポッドキャストです。

技術面の改善をするためには,もちろん普段から意識することは大切ですが,この”意識する”だけで改善しようとするのは遠回りだと思います。

RTSがおすすめする種目は,意識せざるを得ない種目で,膝が後方に引っ込んで前傾するとその時点で潰れてしまうような種目です。

普段やっているSQでは,ある程度前傾しても,ねじ上げることができると思いますが,それが不可能で通用しない種目ということです。

具体的な種目としてはピンスクワットです。ハイバーでやるとさらに効果的かと思います。ピンスクワットはボトムからの反動を使えないので,膝が後方に引っ込んで前傾すると挙げきることは非常に困難になります。

なお,ピンスクワットは初めからセーフティにバーベルをおいてボトムからスタートするものと,普段通り上からスタートするものがありますが,後者の上からスタートさせるものをおすすめします。

セーフティの設置する高さとしては,セーフティに乗ったときに膝と大腿骨が平行になるくらいが良いと思います。(普段のSQではそれよりも少し深くしゃがんでいる場合の話です。普段もう少し浅い人はその分高めに設置するようにしてください。)

またSSB(セーフティ スクワット バー)が使える環境にあるのなら,SSBを使ったSQも効果的です。

個人的な発見

ここでは個人的な発見を紹介します。

SQで膝が後方に引っ込んで前傾するタイプでも,その後の対処が非常にうまい選手がいます。

どういった対処かというと,ボトムで切り返すときは確かに膝が後方に引っ込むのですが,その後はそのまま膝が引っ込むのではなく,膝が再び前方に少し出てくる,または膝が前方に残るという対処です。

文字にしてもわかりにくいので膝の動きに着目して動画を見てください。

ボトムで膝が後方に引っ込みかけたのですが,少しだけ引っ込んだところで膝が止まり,そこから挙げています。このような対処ができると前傾が抑えられるだけでなく,膝が前に残るので粘れるようになります。

この動画のDavid Woolsonは手足が非常に長く,SQには不向きな体型をしているのですが,その分技術的に非常に優れています。(もちろん筋力も強いですが。)

大腿四頭筋に対して臀筋が強いタイプはある程度前傾してしまうのは仕方のないことですが,前傾しすぎるとやはり潰れてしまうので,この記事で紹介した筋力面と技術面の双方からアプローチする方法で可能な限り前傾を防ぐと,より安全に高重量を扱えると思います。

以上です。
最後まで読んで頂きありがとうございます。